看護助手は病院やクリニックにおける縁の下の力持ちともいえる仕事ですが、その仕事内容は決して楽ではありません。そのため、就職初日から「辞めたい」と考えてしまう人もいるようです。
本記事では、看護助手の仕事を一日で辞めたくなる理由や対処方法について、詳しく解説していきます。
看護助手を一日で辞めたくなる理由
看護助手の仕事を短期間で辞めたくなってしまう主な理由は以下の通りです。
それぞれ詳しく解説していきます。
想像以上に覚えることが多い
看護助手の仕事は単純作業だけだと思われがちですが、実際には多くの知識とスキルを必要とします。
患者さんのケアに関する基本的な知識や技術、病院内の規則や手順、さらには医療器具の扱い方まで、覚えるべきことは数多く存在します。
また、それぞれの業務には患者の安全を確保するためのルールがあり、一つひとつを正確に理解し実行する必要があります。
このような負担が初日から重くのしかかると、精神的なストレスが増大し、「自分には無理だ」と感じてしまい、退職を検討するきっかけになります。
看護助手の仕事は意外に覚えることが多く、勤務初日には「こんなに覚えきれない」と不安に感じる人が多いでしょう。
そんな時には、仕事を教わる際は必ずメモを取って、後で振り返りが出来るようにしておくことが重要です。
汚物処理に抵抗がある
看護助手の業務には、患者さんの排泄物(※)の処理や清掃が含まれることが多いです。
これらの作業は患者さんの健康と衛生を保つ上で非常に重要ですが、看護助手や介護職未経験の人にとっては精神的なハードルが高い場合があります。
先輩のやっていることを見るだけの場合もありますが、「これを毎日続ける自信がない」と感じる人も少なくありません。
排泄介助が業務内容に含まれていることは、入社前にほとんどの人が理解しているものの、実際に経験すると長く続ける自信を無くす人も多いようです。
肉体的にきつい
看護助手の仕事は、患者の移動補助や体位変換、ベッドメイキングや清掃等、意外に体力を要する業務が多いのが特徴です。
そのため、これまでデスクワーク中心の仕事をしていた人にとっては、肉体的負担が大きく感じられるでしょう。
初日の勤務が予想以上にハードだった場合、肉体的な負担が理由で「自分にはこの仕事は向いていない」と早々に感じてしまう人も少なくありません。
体系的な身体介助を学ぶことで、肉体的な負担を最小限にして患者のサポートを行うことが可能になります。
「肉体的にキツイ」と感じる場合は、看護助手の仕事をしつつ、介護職員初任者研修等の資格取得を目指すといいでしょう。
夜勤の自信がない
正社員の場合、看護助手には基本的に夜勤が求められます。
夜勤は生活リズムの乱れや睡眠不足を伴うため、不安を感じる人が多く、特に、夜間は患者さんの状態が急変するリスクもあり、対応に対するプレッシャーが大きくなるでしょう。
夜勤のシフトに入るのは勤務開始から1~3か月後が一般的ですが、フロアに対して「看護助手ひとり体制」の場合などは、不安を感じる人も少なくありません。
給料が低すぎる
看護助手の給与水準は他の医療職や介護職と比べるとやや低いことが一般的です。
そのため、業務内容の多さや責任の重さに対して、報酬が見合わないと感じるとモチベーションが下がる要因となります。また、昇給の見込みが少ない職場では、将来への不安も重なり、早期離職を考える人も多いでしょう。
1日働いてみて、「仕事の内容に給与が見合わない」と感じると、相応に退職したいと考える場合もあるでしょう。
その際に、衝動的に退職するのではなく、中長期的な視点で計画を立てることが重要になります。
仕事を教えてもらえない
初めての勤務日に十分な指導やサポートが受けられないと、不安や戸惑いが強くなり、勤務初日から退職したい気持ちが強くなるでしょう。
「何をどうすれば良いかわからない」という状態では、自信を持てず、辞めたくなる気持ちが高まります。特に、忙しい現場では新人の教育が後回しにされることもあり、その結果、自分が孤立していると感じることがあります。
適切な指導やサポートがないと、業務の進め方がわからず、ミスを恐れる気持ちが強まるため、ストレスが増加します。
仕事を適切に教えてもらえない場合は、上長や他の先輩スタッフに相談することで状況が改善する可能性もあります。
一日で退職の判断をするのではなく、どうやって問題を解決できるか?を考えて行動するようにしていきましょう。
人間関係が悪い
医療現場ではチームワークが求められますが、職場の人間関係が悪いと働きにくさを感じます。冷たい対応や指導不足があると、初日で「この職場では続けられない」と判断する人もいるでしょう。
また、上下関係や派閥などが強い職場では、新人が孤立しやすくなることがあります。
看護助手の仕事を辞めたくなった際の対処方法
看護助手の仕事を「もう辞めたい」とか感じた際の具体的な対処方法は以下の通りです。
上記はあくまで、「退職せずに済む方法」「頑張るための具体的な行動」となるため、もしも退職を決意している場合は、転職エージェントや人材派遣会社へ相談する方がよいでしょう。
それぞれ詳しく解説していきます。
悩みを上司や先輩へ相談する
看護助手の仕事を辞めたいと感じたら、まずは上司や信頼できる先輩に相談しましょう。
具体的なアドバイスをもらうことで、現状を改善できる可能性があることに加え、相談を通じて、上司や同僚との関係性を築くことができるため、職場での居心地が良くなることも期待できます。
話しにくい内容であっても、思い切って相談することで、意外な解決策が見つかることもあります。
看護助手の仕事の悩みは、相談相手を見極めて悩みを話してみるといいでしょう。
体系的な身体介助スキルを学ぶ
看護助手は移動・移乗介助や入浴介助等の身体介助を伴う仕事のため、身体介助スキルが未熟だと、肉体的負担を重く感じられることがあります。
そんな時は、正しい体の使い方を学ぶことで、自分の身体への負担を軽減できるだけでなく、患者にもより安心感を与えることができます。
体系的な学びは、仕事を続ける上での大きな支えとなるでしょう。
体系的な学びは、仕事を続ける上での大きな支えとなるでしょう。
もし転職することになっても、正しい身体介助スキルを持っていれば、別の病院や介護施設へ転職する際にも有利になるといえるでしょう。
とにかく実践して慣れる
病院の仕事は独特の緊張感があり、勤務初日は多くのことに戸惑うものですが、実際に業務をこなしていくうちに慣れることも多くあります。焦らずに少しずつ業務を覚え、仕事に慣れる努力を続けましょう。
特に、最初は失敗を恐れずに取り組むことが大切です。経験を積むことで、自信がつき、業務の効率も向上していきます。
周囲の同僚と積極的にコミュニケーションを取りながら、学びを深める姿勢が求められます。
特に排泄介助や汚物処理等の仕事は最初は戸惑うこともありますが、1~3か月程度続けることで慣れる人が多いようです。
ただし、どうしても看護助手の仕事を続けることが難しい場合は、器具洗浄や環境整備(清掃)中心の仕事へ異動希望を出す、もしくは転職を検討するといいでしょう。
勤務日数を調整する
フルタイムの勤務が負担になる場合は、勤務日数やシフトを調整してもらうのも一つの方法です。無理のない働き方を選ぶことで、看護助手の仕事を長く続けられる可能性が高まります。
また、短時間勤務や週数回の勤務に変更することで、体力的・精神的な負担を軽減できるでしょう。
上司に相談して、自分に合った働き方を模索することが重要です。
例えば、看護学生の方が学校の休日全てに看護助手のシフトを入れると、肉体的に休息をとる時間が無く、かなりハードな働き方になってしまいます。
人によって最適な働き方や勤務日数は異なるので、無理なく、健康的に働ける勤務日数へ調整することが大切です。
資格を取得する
看護助手の勤務一日目に「続けていく自信がない」と感じて退職が頭をよぎっている人には、資格の取得がおすすめです。
資格取得を通して専門性を高め、自信をつけることが出来るので、業務の幅が広がることが期待できます。
また、資格を取得することで、昇給やキャリアアップのチャンスが増える場合もあるため、スキルに自信が無く「退職したい」と感じている場合は、看護助手と相性のいい資格の取得を検討するといいでしょう。
こんな時は退職を前向きに検討すべき!
以下のようなケースに当てはまる場合には、勤務日数が短い場合であっても退職を決断すべき可能性があります。
それぞれのケースを詳しく解説していきます。
心身が限界に近いと感じるとき
看護助手の仕事が原因で心身の不調が出ている場合は、退職を検討すべきです。
慢性的なストレスや過労が続くと、体調不良の原因になる可能性があります。人生やキャリアにおいて健康は何よりも重要であり、職場での無理が原因で深刻な問題に発展する前に、適切な対応を取る必要があります。
1日の勤務で体調を崩す可能性は高くありませんが、1週間~1か月程度働いて身体的不調を感じる場合は、退職も視野に入れた方がいいでしょう。
職場の環境が改善される見込みがないとき
人間関係のトラブルや職場環境の悪化が続き、改善の見込みが全くない場合、退職を前向きに検討すべきといえます。
例えば、ハラスメントが頻発している職場や、労働基準法に違反した働き方や過剰な残業がある職場では、働き続けることでさらなるストレスを抱える可能性があります。
このような場合、まずは上司や先輩職員、しかるべき部門へ相談をするべきですが、それでも環境の改善が見込めない場合は退職を検討する方がいいでしょう。
ハラスメントがひどい場合や、サービス残業が多い病院の場合は、転職して環境を変えることがおすすめです。
ただし、転職先で同じ状況にならないようにするために、医療業界に強い転職エージェントや人材派遣会社経由で職場環境を事前に確認した上で、就職先を選ぶように心がけましょう。
キャリアプランやライフプランに合わないとき
看護助手としての働き方が、自分のキャリアプランやライフプランと一致しない場合も、退職を考える理由となります。
たとえば、スキルアップを目指して他職種に転職したい場合や、家庭の事情でフルタイム勤務が難しい場合などが該当します。
ただし、短期離職を繰り返して転職が難しくならないようにするためには、中長期的な視点で「いつまで助手の仕事を続けるべきか」を検討することが重要になるため、注意が必要です。
5年後~10年後を見据えたキャリア選択をするためには、キャリアバディのようなキャリア相談サービスで専門家に相談することもおすすめです。
看護助手の仕事を一日(短期)で退職する際の注意点
どうしても職場環境や仕事内容が合わない場合、1日ないしは短期間で退職をする場合もあるでしょう。
短期間で退職をする場合は、以下の点に注意しておきましょう。
で退職する際の注意点
それぞれ詳しく解説していきます。
次の転職先を見つけてから退職する
勤務一日で看護助手の仕事を辞めたくなった場合でも、安定した収入を確保するためには、次の就職先を見つけてから退職することをお勧めします。
無計画な退職は金銭的な不安を招くだけでなく、転職活動において焦りや迷いを生む原因にもなります。結果的に、次の転職先探しにも悪影響を与える可能性があります。
退職後に転職先を探す場合、転職活動に割ける時間に時間制限が出来てしまい、気持ちが焦って就職先を決めてしまうリスクがあります。
気持ちに余裕をもって転職先を見つけるためにも、次の就職先が見つかってから退職の申し出をすることがおすすめです。
衝動的に行動しない
退職を決断する際には、感情に流されて衝動的に行動しないよう注意しましょう。
看護助手は肉体的にハードで責任も重い仕事のため、勤務初日から「辞めたい!」と思うことも珍しくありません。
ですが、一時的な感情で退職を決めると、後になって後悔することがあります。自分の気持ちを冷静に整理し、家族や友人、信頼できる上司に相談して客観的な意見を聞いたうえで、退職を検討することがおすすめです。
無断退職をしない
一日一日、もしくは1か月以内等の短期退職をする場合であっても、決して無断で退職をしてはいけません。
無断で退職する行為は、職場や同僚に迷惑をかけるだけでなく、次の職場での信用にも悪影響を及ぼしかねません。そのため、退職する際は、必ず上司に正式な手続き(退職届の提出等)を取り、適切な引き継ぎを行いましょう。
誠実な対応を心掛けることで、自分自身のキャリアに後ろめたい過去を作ることなく、仕事を続けることが出来るでしょう。
稀に無断欠勤を続けた後に音信不通となり、そのまま退職になるケースがありますが、これが一番やって引けない行動のひとつです。
職場である病院に心配をかけてしまうことに加え、採用計画が定まらないことで大きな迷惑がかかってしまいます。
どうしても退職を言い出しづらい場合は、メールや手紙を使って意思表示をするように努めるといいでしょう。
看護助手を退職するか悩んでいる際の相談先
退職するか悩んでいる看護助手の中には、適切な相談相手がいなくて困っている人も多いようです。
そこで、ここからは退職を検討している人の相談先におすすめのサービスを紹介していきます。
1日~1か月程度の短期で離職を検討する場合は特に、「このまま辞めても大丈夫だろうか?」という不安を大きく感じることがあるでしょう。
後悔のないキャリア選択をするため、上記のおすすめサービスを詳しく解説していきます。
有料のキャリア相談サービス
キャリアコンサルタントやコーチ等の専門家による有料相談サービスを利用することで、プロの視点でのアドバイスを受けることで、自分に適した職場や新たなキャリアの方向性を見つけることができます。
転職を前提としない、中長期的視点のキャリア設計における助言を受けられることに加え、転職活動におけるサポートも受けることが可能です。
料金がかかるものの、その分、専門的で的確なサポートが得られるため、退職するべきか悩んでいる人だけではなく、真剣に転職やキャリアチェンジを検討している人におすすめです。
転職エージェント
転職先を決めたうえで退職をしたいと考えている場合は、転職エージェントへ登録して相談することがオススメです。
転職エージェントでは、求人紹介だけでなく、キャリアアドバイザーによる応募書類(履歴書・職務経歴書)の添削や面接対策など、転職活動を包括的にサポートしてくれます。
転職エージェントは基本的で利用できるため、転職先を探している人は、まずは登録して相談してみるといいでしょう。
人材派遣会社
看護助手として働きたいが、夜勤が出来ない場合や短時間勤務を希望している場合は、人材派遣会社に登録して相談することがオススメです。
派遣会社を利用することで、勤務時間や勤務地を柔軟に調整できる場合が多く、パートとして雇用されるより時給も高くなる場合があります。
そのため、夜勤を含むフルタイムシフトを希望していない場合は、人材派遣会社に登録して求人を探してみるといいでしょう。
派遣会社を経由して看護助手として働くことで、職場の悩みを派遣会社の担当者に相談できる点がメリットといえます。
また、派遣先の職場環境が合わなかった場合は、期間満了後に別の病院を希望することも可能です。
退職代行サービス
どうしても自分で退職を伝えるのが難しい場合には、退職代行サービスを利用する選択肢もあります。
1日、もしくは1か月以内の短期離職をする場合、自分の口から上司に退職を言い出せない場合もあるでしょう。その場合、無断欠勤や音信不通になるくらいなら、退職代行を使ってきっちり手続きを行う方がいいでしょう。
退職代行では、専門のスタッフが退職手続きを代行してくれるため、精神的な負担を軽減できます。
許可制である転職エージェントや人材派遣会社とは違い、退職代行は誰でもすぐに始められる事業です。そのため、代行の質には事業者によって大きな差があるため、注意が必要です。
質の低い退職代行業者に依頼すると、かえって揉めてしまい、スムーズな退職が実現できない可能性もあります。
そのため、可能な限り、弁護士法人や活動実態のある労働組合が運営している退職代行サービスの中から、相談先を検討するようにしましょう。
看護助手を一日で辞めたくなった際の原因と対処方法まとめ
看護助手の仕事はやりがいのある仕事ですが、仕事量の多さと責任の重さから、勤務初日から「辞めたい!」と思ってしまうこともあります。
退職したくなった理由に合わせて、上司への相談や必要なスキルの習得等、適切な対処を行うことで、今の職場で働き続けられる可能性を高めることができます。
それでも状況が改善されない場合や、自分のキャリア設計に合わないと感じる場合は、前向きに退職を検討することも必要といえるでしょう。信頼できる相談先を活用しながら、自分らしい働き方を追求していきましょう。