未経験だけど看護助手の仕事をやってみたい
看護学校に通っている間も医療機関で経験を積みたい
看護助手の仕事に興味を持っている人の中には、こんな風に考えている人も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、医療業界未経験から看護助手として活躍された方の体験談をご紹介します。
- 年齢:38歳
- 保有資格:看護師(看護助手として勤務後に取得)
- 配属:整形外科病院(35床)
- 経歴:エステ業界で勤務後、看護学校に通いながら看護助手として勤務
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私は、現在未就園児を子育て中の専業主婦です。
短期大学の体育科を卒業し、5年間エステ業界に勤務していました。その後、1年間ワーキングホリデー制度にてカナダで過ごしました。
元々は人見知りの性格でしたが、社会経験にて克服。人と親身に関わる仕事に魅力を感じ、看護師の資格を取得することにしました。
看護助手として整形外科病院に勤務しながら、看護学校へ通って看護師資格を取得。
現在は子育てのため休職中ですが、子育てがひと段落した後に、看護師として復職する予定です。
看護師学校に通いながら未経験で看護助手へ
看護助手の仕事を始めたのは、元をたどれば母からの勧めがきっかけです。
私の母は、看護師として病院で働いています。私が高校生の頃から、母は私に看護師の資格を取得することを勧めていました。
しかし、その頃の私は人見知りな性格な上、血なんて見たくない、と、全く違う進路に進むことを決意。
短期大学卒業後、人見知りな性格だったはずの私は人と関わるエステ業界へ。その後、ワーキングホリデー制度でカナダにて一年を過ごした後帰国しました。
帰国後はもちろん、生活していくために就職先を探さなければなりませんでした。しかし、「今の私に何ができるんだろう」「私の強みって何だろう」と悩んでいました。
その頃の私は、エステ業界や海外での経験を経て、人と関わることの楽しさを知っていました。また、この人が何を求めているのか、何をしてあげたら喜んでもらえるか、という点に気付くのが得意になっていました。
そんな時、私の性格を知る母が、看護助手の仕事をしながら看護学校へ通うという道を提案してくれました。医療業界が未経験であった私にとって、看護助手の仕事をしながら看護学校に通うのは、医療現場を知る上でとても勉強になることだと感じました。
また、人と関わり、自ら気が付くことが求められる看護助手は、私にぴったりな職種だと感じたため、チャレンジをすることにしました。
事前に業務内容を把握して面接へ
私の場合、入学予定の学校で求人情報が紹介されており、その中から希望条件の合う病院を探して応募をしました。
看護助手になるためには、特に資格は必要ありません。そのため、転職のために特別勉強をして臨むということはありませんでした。
面接時に特に注意したことは、緊張せずに話せるようにしたことです。なぜなら、看護助手は、コミュニケーション能力が求められる職業だと思ったためです。
そして、志望動機としては、医療現場で役に立ちたいという気持ちや、現場で医療を勉強していきたいという意欲を伝えました。看護助手は、医療行為を行うわけではありませんが、大きな責任を伴う場面が身近にあります。仕事を任せる事ができる人材であると、信頼してもらえるような受け応えを心がけました。
また、事前に一般的な業務内容を把握し、業務開始後に驚かないようにしておきました。看護助手の仕事は、おむつ交換や吐物など、排泄物や、血液が付着したものを処理するなどの仕事があります。慣れるまでは、正直辛いと感じます。医療業界が全く未経験の私は、業務内容を想像しておく事だけでも心の準備ができました。
看護助手は、転職活動として物理的にはあまり準備が必要な職種ではないかもしれませんが、心理面での準備が必要な職種だと思います。
整形外科病院で患者の身の回りをサポート
私が勤めていたのは、整形外科の病院で、ほとんどの時間を介護士の方々と共に仕事を行いました。
主な仕事内容は、患者様の身の回りのお世話でした。シーツ交換、環境整備、入浴介助、食事介助、おむつ交換、排泄介助、車椅子への移乗介助といった仕事でした。
患者様の身の回りのお世話以外では、検査室への移送、術後のベッドの準備、物品補充、他部署への書類移送といった仕事を任せられました。
患者様の身の回りのお世話は、介護や看護の技術が必要だったため指導を受けながら行いました。
介助する際には、患者様の状態に合わせる必要があります。整形外科であったため、疾患や、疼痛の部位、術後に注意しなければならない体位などがあり、入浴時や移乗介助の際には特に把握しておく必要がありました。
真夏の入浴介助はとても大変で、汗をかきながら十数人の入浴を介助していました。滑って怪我をさせてはなりませんし、術後の禁止体位に注意しなければなりません。とても神経を使い、体力的にもハードな仕事の一つでした。
決められた業務以外に、患者様に声掛けをするよう師長によく言われていました。一見雑談の様にも感じますが、患者様が医師や看護師に言いにくいことや、要望、思いなどを伝えて下さることがあります。
また、入院生活のストレスの軽減にも役立っていたように思います。 業務に追われる医師や看護師に出来ない、看護助手の役割があると感じました。
思った以上にハードな看護助手の現場
看護助手の仕事は、思っていた以上に体力が必要で、ハードな仕事だと感じました。
看護助手の仕事を始める以前は、看護助手は医療行為が出来ないため、患者様の直接的な介助は少ないのではないかと思っていました。
書類を他の部署に届けたり、物品を補充したりの雑務を任されることもありますが、割合としては患者様の身の周りのお世話をする仕事が多かったです。
看護助手は、介護の知識はないものの、仕事内容は介護士の仕事に似ています。
高齢者の方を自宅で介護するのは大変だという印象はありましたが、病院での介護も体力が必要で、大変でした。自力で動けない大人を抱えるのは、実際の体重よりも重く感じます。
また、排泄物や吐物、血液といったものを目にする機会が多く、清潔の管理に携わっていかなければなりません。
私は、病院で勤務するまで、なんとなく医療現場は常に清潔な場所である、というイメージがありました。テレビドラマの影響かもしれません。しかし、それは患者様の入院中の清潔を、スタッフがお手伝いすることで保っているからだと気付きました。
看護助手の仕事はハードですが、思っていた以上に患者様と接する機会が多いため感謝の言葉を頂くことができます。感謝の言葉を頂いた時にはやりがいを感じますし、嬉しさは想像以上でした。
看護助手は潜在的な要望を満たすサポート業務
看護助手の仕事は、人の役に立つことができるというところにやりがいがあります。
病院では、看護師は医療面、介護士は介護面で専門的な業務を任されています。看護師、介護士、どちらの業務も忙しく、手が回らない部分があります。この、手が回りにくい患者様の細かい要望や、院内の雑務に対応するためには、看護助手が必要です。
患者様にお茶を配る業務一つでも、患者様には要望があります。
例えば、ベッド上で安静にしなければならない患者様は、以下のような要望を持っているケースがあります。
この辺りにコップを置いてもらえると助かる。
二つのコップに入れておいてもらえると嬉しい。
このように、患者様には「わざわざナースコールを押すと迷惑だろうな」、と思いつつも「実はこうして欲しい」「実は気になる」という要望があります。
この潜在的な要望は一緒に働く看護師や看護職にも有ります。例えば、以下のような要望です。
すぐに使いたい物品が補充してあれば、スムーズに業務を運ぶことができたのに。
自分でも物品を補充できるけど、
たくさんの業務があるから誰か事前に補充しておいてくれたら助かるのに。
この、「実は」を満たす事が出来る仕事が看護助手だと思っています。
医療現場は、医療行為だけで成り立っているわけではありません。医療現場の医療ではない部分で、痒いところに手が届く存在になれることが、看護助手のやりがいです。
日々の仕事の中で、「ありがとう。」「あなたのお陰で。」と言ってもらえた時は、とても気持ちがよいです。
看護助手は体力とコミュニケーションスキルが重要
看護助手には、体力が必要です。
体力が必要な具体的な仕事としては、おむつ交換、入浴介助、車椅子への移乗等があります。
自力で満足に動くことが出来ない患者様の、生活面でのサポートは、力仕事が主です。自分より体重の重い患者様を抱えなければならないことがありますし、自力で動けない人を介助するのは、自分より体重の軽い人でも重く感じます。
私は元々体力には自信がありましたが、大変だと感じました。
もう一つ大変なところは、人とのコミュニケーションがとても大切な仕事だというところです。
患者様とのコミュニケーションはもちろんなのですが、実は、他の専門スタッフたちとのコミュニケーションも、とても大切です。大切なのですが、医療現場の先輩方とのコミュニケーションは、時に難しいと感じる場合があります。
看護師や医師は、普段から大きな責任を抱えて仕事をしています。そして、彼らからの指示は、スピーディーさや的確さが求められる機会がたくさんあります。
そのような時に、強い口調での指示や指導を受けたとしても、上手くコミュニケーションをとって仕事をこなす必要があります。そして、強いメンタルで接する事が必要になってきます。
看護助手は、患者様やスタッフのために、常に動き続ける必要があるため、体力面においても、精神面においても鍛えられる職種だと思います。
これから看護助手を目指す人へメッセージ
看護助手の仕事は、正直決して楽な仕事ではありません。
しかし、私の様に医療の道に進もうと考えている人にとっては、現場を知るとても学びの多い場です。
看護助手の仕事で培ったきめ細やかな配慮やコミュニケーション能力は、看護師の仕事をしていく上で非常に役立ちます。
また、看護師免許取得後にいきなり現場に出るより、仕事の感覚が掴みやすいように思います。
医療の道へ進む予定がない人にとっても、人に感謝される仕事はやりがいがあると感じるはずです。看護助手の仕事をきっかけに、医療の道を極めようと思えるかもしれません。
どんな仕事でも、慣れるまでが特に大変です。慣れていけば、自ら気付くことができる様になったり、感謝されることが増えていきます。大変な仕事ですが、慣れるまでなんとか乗り越えた後に、看護助手の本当のやりがいが見えてくると思います。