看護助手は無資格・未経験でも病院で働ける人気の職業ですが、就職のハードルの低さゆえに「収入が少ないのではないか?」と気になっている人も多いのではないでしょうか。
本記事では、看護助手の年収や医療・福祉職との比較、収入アップするための具体的な方法について解説していきます。
看護助手とは?
まずは看護助手について、以下3つの項目別に解説します。
まずは看護助手について理解することで、自分が実際に働く姿をイメージしましょう。本記事では、それぞれの具体的な内容を紹介します。
看護助手の仕事内容
看護助手は、主に以下のような仕事を行います。
- 看護師のサポート業務
- 患者の入院生活中のケア
- 病院内の環境整備業務
看護助手という名称のとおり、看護師が患者にケアをする際のサポート業務がメインです。
基本的には、看護師の指示に従って業務をすることになりますが、患者のケアにおいては、自ら考えて動く場合もあります。
そのほか、職場によっては病院の書類整理や医療器具の洗浄などを行うこともあり、幅広い業務スキルを求められるでしょう。
看護助手は夜勤や土日勤務有り
看護助手のサービス対象者である患者の方々は、基本的に24時間365日サポートを必要としているため、土日祝日関係なく出勤する必要があります。
患者の中には、食事や排泄、着替えなど日常生活動作を自力で行えない人もいるため、看護助手のサポートが必要です。
看護助手は無資格・未経験でも就職可能
看護助手はあくまで看護師のサポートをする仕事のため、無資格未経験でも働きやすい仕事です。
また、看護助手の仕事内容は職場によって異なり、書類整理や医療器具の洗浄などがメインであれば、とくに資格は必要ありません。
資格も経験もないから看護助手として働けるか不安に感じている方は、心配しなくても大丈夫です。看護助手を無資格で始めたとしても、働きながら資格を取得できますし、資格取得により収入アップの効果も期待できますよ。
看護助手の年収は低いって本当?
看護助手の年収は低いのか不安を抱いている人も多いでしょう。ここでは看護助手の年収について以下の4つのポイントを解説していきます。
それぞれ具体的な内容を解説しているので、看護助手の年収を把握する際の参考にしてください。
看護助手は医療福祉業界の中でも収入が低い
看護助手の給与は、医療・福祉業界の職種の中でも、比較的低めになっています。
以下の表は、看護助手と医療・福祉業界全体の月収を比較したものです。
職種 | 月収(賃金) |
---|---|
看護助手 | 222,500円 |
医療・福祉業界 | 356,700円 |
参考:e-Stat「賃金構造基本統計調査 令和5年賃金構造基本統計調査 一般労働者職種」
表の結果からもわかるように、看護助手の月収は業界全体と比べると、およそ13万円も低くなっています。
看護助手はあくまで看護師のサポートという立ち位置で、誰でも始めやすい業務であることから、収入が低く設定される傾向にあるのかもしれません。
看護助手と看護師・介護職の年収を比較
続いて、看護助手と看護師、介護職の年収を比較した内容を見ていきましょう。
職種 | 給与(月額) | ボーナス | 年収 |
---|---|---|---|
看護助手 | 222,500円 | 513,600円 | 3,183,600円 |
看護師 | 352,100円 | 856,500円 | 5,081,700円 |
准看護師 | 284,200円 | 622,200円 | 4,032,600円 |
介護職 | 282,400円 | 621,400円 | 4,010,200円 |
参考:e-Stat「賃金構造基本統計調査 令和5年賃金構造基本統計調査 一般労働者職種」
看護師は資格取得の難易度が高く、国家資格でもあることから、看護助手と比べると年収はおよそ200万円も高い結果となっています。
一方で、看護助手と仕事内容は似ている介護職ですが、平均年収は400万円を超えており、看護助手よりも高い金額になっているのがポイントです。
看護助手の時給は平均1,386円
次に、各職種の時給について確認していきましょう。
職種 | 時給 |
---|---|
看護助手 | 1,386円 |
看護師 | 1,849円 |
准看護師 | 1,543円 |
介護職 | 1,272円 |
参考:e-Stat「賃金構造基本統計調査 令和5年賃金構造基本統計調査 一般労働者職種」
上表の数字を見ると、看護助手が介護職よりも平均時給が高いことが分かります。
看護師や准看護師の年収が、看護助手よりも高いことは納得がいくでしょう。しかし、看護助手よりも平均月収が高い介護職は、時給で表すと低い結果となっています。
介護職は、職場による給与の差が激しく、パートであれば最低賃金で働く場合もあるため、平均時給が低くなっているのかもしれません。
看護助手は経験年数に応じて年収上昇
看護助手として年収を上げたい場合は、コツコツ継続して経験年数を重ねることが有効です。
以下の表は、経験年数に応じた看護助手の平均年収の推移です。
経験年数 | 給与(月額) | ボーナス | 年収 |
---|---|---|---|
0年 | 186,700円 | 354,000円 | 2,594,400円 |
1~4年 | 195,100円 | 331,200円 | 2,672,400円 |
5~9年 | 201,900円 | 559,300円 | 2,982,100円 |
10~14年 | 211,800円 | 651,500円 | 3,193,100円 |
15年以上 | 231,300円 | 654,100円 | 3,429,700円 |
参考:e-Stat「賃金構造基本統計調査 令和5年賃金構造基本統計調査 一般労働者職種」
看護助手として10年働き続ければ、およそ60万円年収がアップする傾向にあることがわかります。
経験年数による収入アップは、職場の昇給や評価制度に依存する形になるため、大きな増加にはつながりにくいのがデメリットです。
年収を効果的にアップさせたい場合は、「他の職種に挑戦する」「職場を変える」など具体的な対策を実行しましょう。
看護助手が年収をアップさせる方法
看護助手が年収をアップさせる具体的な方法として以下の5つが挙げられます。
看護助手として働き続けたい人、他の職種でもいいという人、それぞれの考え方に対する年収アップ術を紹介しています。
それぞれ詳しい内容を解説していきます。
夜勤の回数を増やす
看護助手の年収をアップさせるには、夜勤の回数を増やすのが効果的です。夜勤をすれば夜勤手当がもらえるため、日勤のみするよりも給与は高くなります。
ただし、夜勤手当は職場によって異なります。夜勤を多くして収入を上げたい人は、入社前に職場の夜勤手当を確認しましょう。
たとえば、以下のような2つの職場があり、それぞれの夜勤手当が異なると、夜勤の回数が同じでも収入に大きな差が生じます。
職場 | 夜勤手当 |
---|---|
A病院 | 3,000円/夜勤1回 |
B病院 | 8,000円/夜勤1回 |
仮に月に5回夜勤に入ると仮定すると、A病院の場合は夜勤5回で1万5千円、B病院の場合は夜勤5回で4万円なので、夜勤手当だけで2万5千円の差があります。
夜勤が出来ない場合は派遣会社へ登録する
夜勤の回数は増やせない、または夜勤が出来ないという人は、派遣会社に登録して看護助手として働くのがおすすめです。
夜勤以外にも、早番や土日祝日出勤が難しい場合は、手当の金額が少なくなる可能性があります。
夜勤や土日祝日の出勤などが難しい場合は、派遣会社に登録して少しでも高い時給による契約を目指しましょう。
資格を取得する
以下のような資格を取得することで、看護助手として年収をアップさせることが可能です。
看護助手におすすめの資格の特徴を表にまとめたので、ぜひご覧ください。
職種 | 特徴 |
---|---|
介護職員初任者研修 | 介護の基礎を学べる 無資格未経験の人におすすめ 最短約1ヶ月で取得できる |
介護福祉士実務者研修 | 介護福祉士国家試験の受験に必要 痰吸引や経管栄養など医療ケアも学べる 最短でも取得までに約6ヶ月かかる |
介護福祉士(国家資格) | 介護職唯一の国家資格である 看護助手の年収アップに効果的 介護の実務経験が3年超えると受験できる |
看護助手実務認定資格証 | 看護助手として即戦力で働けることを証明してくれる 試験の合格率は60〜80%ほど 受験資格はなく自宅でもオンラインで受験できる |
メディカルケアワーカー | 看護助手の実務能力を評価する 資格手当が支給される職場もある 1級と2級があり、1級を受けるには2級に合格する必要がある |
資格を取得することで資格手当が付いたり基本給がアップしたりするため、年収もアップします。
経験を積む
大きな収入アップは期待できませんが、看護助手としての経験を積むことで着実に収入を上げられます。
とくに経験を積みながら資格も取得しスキルアップしていけば、より収入アップの効果は高まるでしょう。
ただ看護助手の場合は、職場によって清掃や書類整理などの軽作業のみすることもあり、そういった職場は経験を積んでも収入アップは期待できないかもしれません。
転職する
転職は看護助手の収入アップに効果的です。ここでは、以下3つの転職パターン別に、収入アップの効果を紹介します。
それぞれ詳しい内容を見ていきましょう。
違う病院へ転職する
看護助手の仕事に満足はしているものの、今の職場の待遇や労働環境に不満がある場合は、看護助手として違う病院に転職するのがおすすめです。
今よりも良い条件で採用してくれる場合や、夜勤の回数が多く夜勤手当で収入アップが期待できる職場は必ずあります。
看護助手の主な活躍の場である病院やクリニックは、職場による条件面の差があるため、同じ仕事内容でも今よりも給料の高い転職先を見つけられるでしょう。
介護職へ転職する
看護助手としての働き方や待遇などに不満がある場合は、介護職として働く選択肢もあります。
本記事でも紹介したように、看護助手と介護職の平均年収は、以下のように介護職のほうが高くなっています。
職種 | 平均年収 |
---|---|
看護助手 | 3,183,600円 |
介護職 | 4,010,200円 |
介護職への転職であれば、看護助手として行っていた身体介助の経験が活かせるため、転職もしやすいでしょう。
介護系の資格を持っている場合は、より待遇面の向上が期待できます。
看護師の指示に従って動く看護助手とは異なり、介護施設では介護職が率先して業務を進めていくため、サポート業務がメインの看護助手とは違った楽しみを感じられるかもしれません、
看護師へ転職する
看護助手をしながら、看護師の業務に興味ある場合は、看護師への転職もおすすめです。
ただし、看護師を目指す場合は、准看護師または看護師の資格が必要です。どちらの資格も養成機関で一定機関学ぶ必要上がるため、すぐに資格を取得できるわけではありません。
看護師への転職を目指す場合は、看護学校での学習期間や費用など、さまざまなことを考慮しながら、計画的に資格取得に向けて行動しましょう。
看護助手の年収はこれからどうなる?
看護助手の年収は、医療・福祉業界の中でも低い傾向です。では、看護助手の年収はこれからどうなっていくのでしょうか。
令和5年11月2日に閣議決定された「デフレ完全脱却のための経済対策」では、看護助手の待遇が引き上げられるという内容の記載がありました。
対策の正規名称は「看護補助者の処遇改善事業」と言われ、事業の概要は以下のとおりです。
項目 | 内容 |
---|---|
対象期間 | 令和6年2月〜5月の賃金(以降も賃上げが継続する取り組みを行うこと) |
補助金額 | 1人あたり月額6,000円の賃上げ |
対象施設 | 病院及び有床診療所(看護補助者の配置を要件とする診療報酬を算定する医療機関) |
対象職種 | 看護助手として働き診療報酬の算定対象となる者 |
参照:厚生労働省「看護補助者処遇改善事業」
看護助手求人のおすすめの探し方
看護助手求人のおすすめの探し方は、以下の4つです。
それぞれの探し方の具体的な方法を解説するので、転職を考えている方はぜひ参考にしてください。
人材派遣会社に登録する
看護助手求人のおすすめの探し方は、人材派遣会社への登録です。
派遣社員として働くことで、直接雇用のパート社員よりも高い時給で契約できる可能性が高く、職場や勤務時間など働き方の選択肢も広がるでしょう。
転職エージェントを利用する
看護助手として少しでもいい条件の求人を探したい人は、転職エージェントの利用がおすすめです。
転職エージェントを利用すれば、以下のようなメリットを得られます。
- 高待遇の非公開求人を紹介してもらえる
- 給与をはじめとした条件交渉を代わりにしてくれる
- 履歴書添削や面接同行などの転職サポートを受けられる
- 求人内容にはない転職先の詳しい情報を教えてもらえる
- 自分の強みを代わりにアピールしてくれる
看護助手は介護職と仕事内容が似ているため、利用する転職エージェントについては、しっかり見極める必要があります。
知り合いに紹介してもらう
知り合いが働いている職場や、過去に働いた経験があるところを紹介してもらうのも、いい職場を探す方法としておすすめです。
知り合いが実際に働いているため、正確な一次情報を把握した上で転職先を決められます。
今現在も働いている職場であれば、入社後も知り合いにサポートしてもらえるメリットもあります。
知り合いの紹介で入社すれば、紹介制度による祝い金をもらえたり、知り合いが仲介役となることで仲良くなりやすいといった効果も期待できます。
ネットで調べたり近所を散策したり自ら探す
派遣会社や転職エージェントの利用、知り合いの紹介などは、あくまで他人に頼る形での転職です。
まずは自分の目で情報を確認してから転職先を決めたいという人は、自らネットで調べたり近所を散策したりして情報を集めるのもいいでしょう。
こまめに情報をチェックしておけば、思いがけない高待遇の求人を自分の力で見つけられるかもしれません。
私自身も介護職として転職する際、転職エージェントを使いながら自分でも求人を調べて、気になる求人があればより詳しい情報を知るために、エージェントの方に情報収集を依頼した経験があります。
看護助手の年収まとめ
看護助手の年収は、医療・福祉業界の中でも低い傾向にあります。そのため、医療・福祉業界で少しでもいい給与を求めるのであれば、介護職や看護師などを目指したほうがいいでしょう。
「それでも看護助手として働きたい!」という方は、時給の高い派遣社員として働くか、転職エージェントを利用し少しでもいい条件の職場で働くのがおすすめです。
看護助手は無資格未経験からでも働けるため、まずは看護助手としてキャリアをスタートさせ、その過程で介護職や看護師などの選択肢を検討してみてもいいでしょう。
実際に医療現場で働くことで、見えてくるものや気付かされることもあります。 ぜひ本記事を、看護助手としてのキャリア形成にお役立てください。