「登録販売者の合格率ってどれくらい?」
「医薬品の勉強って難しそう」
登録販売者の資格に興味を持っている人の中には、このように悩んでいる人もいるようです。
登録販売者資格は、法律に基づく公的資格の一つであり、正しい勉強法と試験対策を知れば合格を目指せる資格です。
この記事では、登録販売者試験の難易度や合格率、都道府県ごとの違いや必要な勉強時間まで、資格取得に必要な情報をお伝えしていきます。


登録販売者とは
登録販売者は、一般用医薬品(OTC医薬品)の販売と相談に特化した医薬品販売の専門資格です。
2009年の薬事法改正によって創設され、薬剤師以外でも一般用医薬品を販売できる制度として導入されました。
医薬品を販売する店舗では、法律により薬剤師または登録販売者の配置が義務付けられ、登録販売者が取り扱えるのは、風邪薬や痛み止めなど、一般用医薬品(OTC医薬品)のうち第二類医薬品および第三類医薬品に限られます。
一方、一般用医薬品の中でも副作用の強い「第1類医薬品(例:ロキソニンSやガスター10など)」は薬剤師のみが販売可能であり、登録販売者では取り扱えません。
登録販売者の主な勤務先としては、ドラッグストアや薬局、コンビニエンスストア、スーパー、ホームセンターなどがあり、薬剤師が不在の店舗でも医薬品を販売できるようにするための重要な人材として活躍しています。
登録販売者試験の概要
登録販売者の資格を得るためには、毎年実施される試験に合格する必要があります。登録販売者試験の概要は以下の通りです。
試験実施時期 | 8月下旬〜12月中旬のうち1日 (都道府県により異なる) |
---|---|
試験会場 | 各都道府県ごと開催 |
受験資格 | 年齢・学歴・職歴不問 (誰でも受験可能) |
受験料 | 12,800〜18,200円 (都道府県により異なる) |
試験形式 | 筆記試験 |
問題数 | 全120問 |
出題科目 | 医薬品に共通する特性と基本的な知識(20問) 人体の働きと医薬品(20問) 主な医薬品とその作用(40問) 薬事関係法規・制度(20問) 医薬品の適正使用・安全対策(20問) |
試験時間 | 合計240分(120分×2回・途中休憩あり) |
合格基準 | 総得点の70%以上かつ、 各科目で40%以上(都道府県にによっては35%以上) |
合格率(全国平均) | 約40〜50% |
登録販売者になるための試験は、受験資格に年齢・学歴・実務経験などの制限はなく、誰でも受験できます。
試験は各都道府県、または複数県をまとめたブロック単位で年に1回実施されますが、地域によって試験日や出願期間が異なるため、必ずチェックしておきましょう。
登録販売者試験の出題範囲・合格基準
登録販売者試験は、全国共通の基準に基づいて実施されるマークシート方式の試験で、全120問から構成されています。
試験問題は厚生労働省が定める「試験問題作成に関する手引き」に準拠しており、以下の5つの科目から出題されます。
科目名 | 問題数 |
---|---|
医薬品に共通する特性と基本的な知識 | 20問 |
人体の働きと医薬品 | 20問 |
主な医薬品とその作用 | 40問 |
薬事に関する法規と制度 | 20問 |
医薬品の適正使用と安全対策 | 20問 |
合格するには、原則として総出題数に対して7割の正答、かつ各試験項目ごとに都道府県知事が定める割合以上の正答率(主に35%・都道府県によっては40%)とされています。
登録販売者試験は実務経験が無くても受験可能
登録販売者試験は、年齢・学歴・実務経験といった受験資格の制限が一切ない点が特徴です。
ただし、試験に合格しただけでは「研修中」の登録販売者としての扱いとなり、すぐにひとりで一般用医薬品(第二類・第三類)の販売責任者になることはできません。
独り立ちや店舗管理者になるためには、以下の実務経験および研修の修了が必要になるため、注意しておきましょう。
- 過去5年間で2年以上、かつ1,920時間以上の実務経験
- 過去5年間で1年以上かつ1,920時間以上の実務経験+継続的研修+指定の追加的研修の修了
- 実務経験が1年以上あり、過去に店舗管理者または区域管理者としての業務経験がある
登録販売者試験の難易度は高くない
登録販売者試験は、法律に基づく公的資格の中では比較的難易度が低い資格といえます。
登録販売者の難易度が高くない理由は以下の通りです。
それぞれ詳しく解説していきます。
合格率は40~50%
登録販売者試験の全国平均合格率は、おおむね40〜50%程度となっており、適切な学習を行えば十分に合格可能な試験であることを示しています。
直近の登録販売者試験の合格率は以下の通りです。
年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|
2024年 | 54,526人 | 25,459人 | 46.7% |
2023年 | 52,214人 | 22,814人 | 43.7% |
2022年 | 55,606人 | 24,707人 | 44.4% |
参照:厚生労働省「令和5年度登録販売者試験実施状況」
参照:厚生労働省「令和4年度登録販売者試験実施状況」
上表を見ると分かるように、登販の合格率は毎年おおむね40%台で推移しており、しっかりと学習すれば十分に合格を目指せる試験であることが分かります。
複数の都道府県で受験することが可能
登録販売者試験は、都道府県ごとに実施されているため、試験日が地域によって異なります。
とはいえ、地域をまたいだ併願受験には費用や移動といった負担も伴うため、注意が必要です。都道府県ごとに受験料が発生し、さらに遠方での受験となる場合は交通費や宿泊費などの負担も増加します。
費用と労力のバランスを考えながら、無理のない範囲で資格取得の計画を立てることが大切です。
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「どうしても今年合格したい!」と考えている場合は、試験対策を万全に仕上げた上で、近隣の都道府県を含めた2~3か所で併願受験するといいでしょう。
他国家資格と比べても難しくない
登録販売者試験は、実用性の高い宅建や社労士などの国家資格と比較する難しくありません。
それぞれの最新の合格率は以下表の通りとなっており、登録販売者の合格率が圧倒的に高いことがわかります。
資格名 | 合格率 |
---|---|
登録販売者 | 46.7% |
宅地建物取引士(宅建) | 18.6% |
社会保険労務士(社労士) | 6.9% |
参照:一般財団法人不動産適正取引推進機構「令和 6 年度宅地建物取引士資格試験結果の概要」
参照:厚生労働省「第56回社会保険労務士試験の合格者発表」
また、宅地建物取引士や社労士等を含む大半の国家資格が年に1回しか受験をするチャンスが無いことを考えると、登録販売者は取得しやすい資格といえるでしょう。
一方、医療事務関連の資格と比べると、登録販売者試験はやや難易度が高い試験といえます。
資格名 | 合格率 |
---|---|
医科医療事務管理士 | 76〜80% |
医師事務作業補助者 (ドクターズ オフィスワーク アシスト) | 約90% |
医療事務技能認定試験 | 81〜95% |
このことから、登録販売者は簡単すぎず、手が届く難易度というバランスの取れた資格といえます。
初めて医療・薬学系の資格に挑戦する方にとっても、取り組みやすい試験だといえるでしょう。
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登録販売者は医療関連資格の公的資格の中でも、無資格・未経験でも挑戦しやすく、かつニーズの高い資格といえるでしょう。
登録販売者試験の合格率
「医薬品販売の専門家の資格って難しそう…」と思われがちな登録販売者試験ですが、しっかり準備すれば合格は十分に目指せます。
ここでは、気になる登録販売者試験の合格率について、最新データをもとに詳しくご紹介します。
登録販売者の合格率の年間推移
登録販売者試験の全国平均合格率は、近年おおむね40〜50%の範囲で推移しており、比較的安定した傾向が見られます。
直近の年度別合格率の推移は以下の通りです。
試験年度 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|
2024年 | 54,526人 | 25,459人 | 46.7% |
2023年 | 52,214人 | 22,814人 | 43.7% |
2022年 | 55,606人 | 24,707人 | 44.4% |
2021年 | 61,070人 | 30,082人 | 49.3% |
2020年 | 52,959人 | 21,953人 | 41.5% |
参照:厚生労働省「令和5年度登録販売者試験実施状況」
参照:厚生労働省「令和4年度登録販売者試験実施状況」
参照:厚生労働省「令和3年度登録販売者試験実施状況」
参照:厚生労働省「令和2年度登録販売者試験実施状況」
この合格率の推移を見ると、登録販売者試験の難易度は安定しており、事前に過去問を使って念入りに試験対策を行えば、一発合格を目指すことも難しくないことが分かります。
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ただし、試験を実施する都道府県によって合格率に大きな開きがあるため、注意しておきましょう(次項で解説)。
都道府県別の登録販売者試験の合格率
登録販売者の都道府県別合格率(2024年度試験)は以下表の通りです。
都道府県 | 受験者数 | 合格者数 | 合格率 |
---|---|---|---|
北海道 | 1,553 | 967 | 62.27% |
青森県 | 572 | 314 | 54.90% |
岩手県 | 501 | 258 | 51.50% |
宮城県 | 1193 | 656 | 54.99% |
秋田県 | 364 | 182 | 50.00% |
山形県 | 451 | 237 | 52.55% |
福島県 | 963 | 457 | 47.46% |
茨城県 | 1,881 | 875 | 46.52% |
栃木県 | 1,019 | 436 | 42.79% |
群馬県 | 1,785 | 914 | 51.20% |
埼玉県 | 2,305 | 1,077 | 46.72% |
千葉県 | 2,579 | 1,185 | 45.95% |
東京都 | 4,257 | 1,948 | 45.76% |
神奈川県 | 2,997 | 1,432 | 47.78% |
新潟県 | 867 | 377 | 43.48% |
富山県 | 577 | 301 | 52.17% |
石川県 | 782 | 408 | 52.17% |
福井県 | 197 | 79 | 40.10% |
山梨県 | 352 | 141 | 40.06% |
長野県 | 859 | 361 | 42.03% |
岐阜県 | 917 | 505 | 55.07% |
静岡県 | 1,933 | 1,095 | 56.65% |
愛知県 | 3,267 | 1,853 | 56.72% |
三重県 | 969 | 554 | 57.17% |
奈良県 | 842 | 352 | 41.81% |
鳥取県 | 258 | 137 | 53.10% |
島根県 | 271 | 136 | 50.18% |
岡山県 | 1,478 | 765 | 51.76% |
広島県 | 1,042 | 582 | 55.85% |
山口県 | 858 | 466 | 54.31% |
香川県 | 528 | 279 | 52.84% |
愛媛県 | 647 | 335 | 51.78% |
高知県 | 395 | 184 | 46.58% |
福岡県 | 4,019 | 1,242 | 30.90% |
佐賀県 | 623 | 179 | 28.73% |
長崎県 | 538 | 163 | 30.30% |
熊本県 | 789 | 247 | 31.31% |
大分県 | 633 | 226 | 35.70% |
宮崎県 | 504 | 148 | 29.37% |
鹿児島県 | 859 | 247 | 28.75% |
沖縄県 | 702 | 172 | 24.50% |
関西広域連合 | 6,400 | 2,987 | 46.67% |
年度計 | 54,526 | 25,459 | 46.69% |
表を見ると分かるように、登録販売者試験の合格率は都道府県によって異なります。
これは、各都道府県またはブロックごとに試験問題を独自に作成しているためで、出題傾向や難易度に地域差が生じていることが主な要因です。
加えて、各試験項目ごとに設定される足切りラインについても、都道府県によっては40~35%の差異があるため、これが合格率に影響していると推測されます。
【2024年度】合格率が高い県と低い県ベスト3
2024年度の登録販売者試験の合格率を見ると、地域ごとの合格率の差が大きいことが明らかになりました。
合格率が高い県は以下の通りとなっており、平均合格率46.69%を10ポイント近く上回っていることが分かります。
合格率順位 | 合格率が高い都道府県 | 合格率 |
---|---|---|
1 | 北海道 | 62.3% |
2 | 三重県 | 57.2% |
3 | 愛知県 | 56.7% |
一方で、合格率が低い県は以下の通り、平均合格率を20ポイント近く下回っている状況です。
順位 | 合格率が低い都道府県 | 合格率 |
---|---|---|
1 | 沖縄県 | 24.5% |
2 | 佐賀県 | 28.7% |
3 | 鹿児島県 | 28.8% |
このように、合格率は地域によって大きな差があり、受験地域の選び方が結果に影響する可能性もあることがうかがえます。
そのため、登録販売者の受験を検討している方は、地域ごとの傾向も把握しながら、戦略的に準備を進めることが大切です。
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ただし、試験の合格率は「試験の内容」だけではなく、当該受験地の受験生の勉強時間や学習環境にも依存します。
そのため、「合格率が高い地域=難易度が低い」とは限らないため、注意しておきましょう。
登録販売者試験の勉強時間
登録販売者試験の合格を目指すうえで、どれくらいの勉強時間が必要なのかは、多くの受験者が気になるポイントです。
そこで、ここからは学習時間の目安や効果的な勉強法について紹介します。
登録販売者試験合格に必要な勉強時間は300時間が目安
登録販売者試験に合格するために必要な学習時間は、一般的に300〜400時間とされています。
この学習時間が必要とされる理由は、試験に当たる全5科目の試験範囲が広範にわたり、医薬品の種類・人体の仕組み・法律・安全対策など多岐にわたる内容を網羅的に学ぶ必要があるためです。
なお、医薬品業界での勤務経験がある方や、薬学・生物学の基礎知識をすでに持っている方であれば、必要な勉強時間をある程度短縮できる可能性もあります。
いずれにせよ重要なのは、自身の生活リズムに合った現実的なスケジュールを立て、継続可能なペースで学習を進めることです。
通信講座を活用すれば学習効率アップ
登録販売者試験の合格を目指すにあたって、市販のテキストを使った独学でも十分に合格は可能です。
実際に、時間を確保しながらコツコツ取り組める方や、ある程度の学習習慣がある方であれば、独学で合格している人も少なくありません。
通信講座では、専門講師が監修した体系的なカリキュラムをはじめ、わかりやすい講義動画・質問や添削サポートなどが含まれており、迷いなく効率的に学習を進められます。
独学か通信講座かは、自分の性格や生活リズムに合わせて選ぶことが大切です。
登録販売者資格を取得するメリット


登録販売者の資格を取得することで得られるメリットは多岐にわたります。
主なメリットをひとつずつ解説します。
就職や転職が有利になる
登録販売者の資格は、就職や転職の場面においてアピールポイントとなります。
ドラッグストアや調剤薬局をはじめ、OTC医薬品を扱う様々な小売店が高い需要があるため、登録販売者の資格を取ることで、転職が有利になるケースが多いでしょう。
登録販売者が就職・転職に強い理由は、次の通りです。
- 第2類・第3類医薬品を販売できる
- 薬剤師に次ぐ、医薬品販売の専門職
- 勤務先の選択肢が豊富
- 「登録販売者歓迎」「優遇」と明記する求人が多数
- パート・アルバイトでも専門職として働ける
- 日本全国で通用する資格
このように、登録販売者を取得することで、全国の医薬品販売を行う店舗で働くことが可能になるため、食いっぱぐれの無い資格といえるでしょう。


給与アップが期待できる
登録販売者資格を取得することで、収入面でのメリットも期待できます。
登録販売者資格は就職時だけでなく、将来的な正社員登用やキャリアアップといった長期的な収入面の向上にもつながる資格です。
ただし、登録販売者の年収は正社員でも300~400万円程度が一般的で、日本の平均年収は約460万円(参照:国税庁「令和5年分 民間給与実態統計調査」)を下回っている点には注意しておきましょう。
>登録販売者は食べていける資格?役に立たないと言われる理由も解説


働き方の選択肢が増える
登録販売者資格を取得することで、勤務先の幅が広がるだけではなく、働き方そのものの選択肢も大きく広がります。
登録販売者の資格取得で実現できる働き方は、以下の通りです。
- 主な勤務先
-
- 薬局
- ドラッグストア
- スーパー
- コンビニ
- ホームセンター
- 家電量販店
など多岐にわたる
- 雇用形態の柔軟性
-
正社員から派遣社員、パートなど、
自分の生活スタイルに合わせて選択可能 - 家庭との両立がしやすい
-
時短勤務・扶養内勤務も可能で、子育てや介護との両立も可能
登録販売者資格は医薬品販売に関するスキルだけでなく、自分らしい働き方を叶えるためのキャリアの土台にすることも可能です。
ただし、働き方の自由度・柔軟性は実際の勤務先によって大きく異なるため、転職の際には労働環境を細かく確認するようにしましょう。
一度取得すれば更新不要・失効しない
登録販売者資格は一度取得すれば、更新手続きや再試験の必要がなく生涯有効な資格として活用できます。
数年ごとの更新が必要な資格が多い中で、登録販売者資格ならではの大きなメリットといえるでしょう。
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ただし、ブランクがある場合は最新の医薬品事情についていけるように、自己学習が必須のため、注意しておきましょう。
医薬品の知識が身につく
登録販売者資格の取得を目指す過程で得られる医薬品の専門知識は、日常生活でも実用的に活かせる大きな財産になります。
医薬品に関する知識が身につくことで、以下のような場面で役立ちます。
- 自分や家族の症状に合った市販薬を選べる
- パッケージの成分表示を正しく読み取れる
- 飲み合わせや副作用のリスクを事前に把握できる
これらの知識により、いざというときに正しい判断と対応ができるセルフメディケーションのスキルと習慣が養うことが可能になります。
登録販売者資格の注意点
登録販売者は取得しやすく、働き方の自由度も高い魅力的な資格ですが、取得後にはじめて気づくギャップや注意点も存在します。
登録販売者として働く上で事前に知っておきたい注意点は以下の通りです。
それぞれ詳しく解説していきます。
独り立ちには最低1年以上の実務経験が必要
登録販売者として単独で医薬品販売を行ったり、店舗管理者として働くためには、試験合格後に一定の実務経験を積む必要があります(上記図解を参照)。
試験に合格しただけでは「研修中の登録販売者」として扱われ、必ず他の管理者の指導のもとで業務に従事する必要があります。
店舗管理者の要件を満たすには、以下のいずれかの実務経験が必要です。
- 過去5年間で通算2年以上、かつ1,920時間以上の実務経験
- 過去5年間で通算1年以上、かつ1,920時間以上の実務経験+継続的研修+店舗管理や法令遵守に関する厚生労働大臣指定の研修を修了している
- 実務経験が1年以上あり、過去に店舗管理者または区域管理者としての業務経験がある
なお、実務経験は正社員だけではなく、パート・アルバイトでも可能で、複数の勤務先の経験を合算することも認められています。
実務としては「一般従事者」と同じ業務が多い
登録販売者の資格を取得しても、実際の現場では専門的な医薬品相談業務だけではなく、一般の小売業務も多く含まれるのが現実です。
主な業務内容の一例は以下の通りです。
- レジ対応
- 商品の陳列・補充(品出し)
- 清掃や店内整理
- 在庫管理
- 医薬品以外(化粧品・日用品・食品など)の接客・販売
- 医薬品に関する相談・販売
ドラッグストアでは、登録販売者も販売スタッフの一員として広い業務を担うため、医薬品以外の商品にも詳しくなる必要があります。
毎年研修を受ける必要がある
登録販売者として医薬品販売に従事する場合、年間12時間以上の外部研修の受講が義務付けられています。
参照:e-Gov法令検索「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律施行規則 第15条の11の3」
医薬品は常に新しい成分や使用法、副作用情報などが追加・更新されており、最新の知識を保つためには継続的な学習が不可欠です。
この研修制度は、登録販売者の専門性を維持し、消費者に対して適切な情報提供やアドバイスを行う力を養うことを目的としています。
研修では、主に以下のような内容が取り上げられます。
- 医薬品に共通する特性と基本的な知識
- 人体の働きと医薬品
- 主な一般用医薬品とその作用
- 薬事に関する法規と制度
- 一般用医薬品の適正使用と安全対策
- リスク区分等の変更があった医薬品
- 店舗の管理及び区域の管理に関する事項
- その他登録販売者として求められる理念、倫理、関連法規等
登録販売者資格に関するよくある質問
ここからは登録販売者資格に関するよくある質問を、Q&A形式で詳しく解説していきます。
他の国家資格と比べて難易度は高い?
登録販売者試験は他の国家資格と比べて難易度は高くありません。
登録販売者試験の合格率は、実用性の高い国家資格として知られる「宅建」や「社労士」と比べて、圧倒的に高いことがわかります(以下表参照)。
資格名 | 合格率 |
---|---|
登録販売者 | 46.7% |
宅地建物取引士(宅建) | 18.6% |
社会保険労務士(社労士) | 6.9% |
参照:一般財団法人不動産適正取引推進機構「令和 6 年度宅地建物取引士資格試験結果の概要」
参照:厚生労働省「第56回社会保険労務士試験の合格者発表」
登録販売者試験の合格率は受験地により異なるものの、概ね40~50%程度と安定しています。ただし、出題範囲は広いため、しっかりとした対策は必要です。
働きながらでも合格は可能?
登録販売者の資格試験は、働きながらでも合格は十分可能です。
必要な学習時間は約300〜400時間とされており、1日3時間の学習を数ヶ月継続すれば合格ラインに到達できる可能性が高いでしょう。
通勤時間やスキマ時間を活用したり、通信講座やスマホ学習を取り入れたりすることで、効率よく学習が進められます。大切なのは、無理のない計画で継続することです。
独学で合格できますか?
独学でも十分に合格可能です。
登録販売者試験は「試験問題作成の手引き」に沿って出題されるため、市販のテキストと過去問を活用すれば独学でも対応できます。
参照:厚生労働省「登録販売者試験問題作成に関する手引き(令和7年4月)」
学習のポイントは以下の通りです。
- 最新版のわかりやすいテキストを使う
- 過去問を繰り返し解く
- YouTubeなどの無料動画を活用
ただし、試験範囲が広く暗記量も多いため、計画的にコツコツ学習を進めることが重要です。
合格後はどんなところで働けますか?
登録販売者資格を取得すると、以下のような多様な業態・職場で働くことができます。
- ドラッグストア
- 調剤薬局
- コンビニエンスストア
- スーパー
- ホームセンター
雇用形態も正社員やパート、派遣社員など様々で、ライフスタイルに合わせた働き方が可能です。
登録販売者の取得難易度まとめ
登録販売者試験は、合格率40~50%と他の国家資格と比べると取得しやすく、計画的に学習すれば独学でも合格を目指せる資格です。
また、実務経験がなくても受験可能で、複数の都道府県での受験が可能という点も大きな特徴のひとつです。
地域によって合格率に差があるため、合格率の高い地域を選びつつ、複数の都道府県で受験をすることも可能です。
登録販売者資格は一度取得すれば更新不要かつ、日本全国でニーズのある資格です。自分のペースで無理なく学習を進めながら、確実な合格を目指していきましょう。



